人類の起源

身長1メートルの人類ホモ・フローレシエンシスとは? どこから来たのかはまだわからない

2026年10月28日更新・約8分で読めます

ホモ・フローレシエンシスの頭の骨(博物館の標本)
Photo: Rama / CC BY-SA 3.0 fr / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と博物館・研究機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

2004年、インドネシアの島で、大人なのに身長が約1メートルしかない人類の骨が見つかりました。脳の大きさは、もっとも小さい猿人と同じくらいです。それでも、この人類のものとみられる石器が見つかっています。この小さな人類がどこから来たのかは、20年たった今も決着していません。

3行でわかる

  1. ホモ・フローレシエンシス(フローレス原人)は、インドネシアのフローレス島にいた身長約1メートルの人類です。
  2. 骨は約10万〜6万年前のもので、同じ島では約70万年前から小さな祖先がいました。
  3. ジャワ原人の仲間が島で小さくなった説と、もっと古い人類から来た説に分かれています。

01 わかっていることホモ・フローレシエンシスはどんな人類?

フローレス島のリャン・ブア洞窟で見つかった、大人で身長約1メートル、脳の大きさ約380ccの人類です。古い特徴と新しい特徴をあわせ持ち、新しい種とされました。

2004年の論文は、身長も脳の大きさも、もっとも小さいアウストラロピテクス(数百万年前のアフリカの猿人)と同じくらいだと報告しました [1]。脳の約380ccは、500ミリリットルのペットボトルの4分の3ほどです。

それまでアジアにいた人類は、ジャワ原人などのホモ・エレクトスと、私たちホモ・サピエンスの2種だけと考えられていました [1]。小さな人類の発見で、ヒトの仲間(ホモ属)の体の形は思ったより多様だとわかりました。

02 どうやってわかったのかいつ、どれくらい小さかったかはどうやってわかったの?

洞窟の地層の年代を測り直し、島の別の場所で古い骨も見つけました。骨の形を、ほかの人類と細かく比べて家系図を作る研究も行われています。

わかっているブラウンら(2004年、Nature)[1]

大人の骨で、身長は約1メートル、脳の大きさは約380ccでした。論文は、ホモ・エレクトスの群れが島で長く孤立し、体が小さくなったという説がもっともありそうだとしました。

どうやって: リャン・ブア洞窟の地層から掘り出した頭の骨と体の骨を、ほかの人類の化石と比べました。

わかっているスティクナら(2016年、Nature)[2]

骨の年代は約10万〜6万年前と測り直されました。この人類のものとみられる石器は、約19万〜5万年前の地層から出ています。

どうやって: 洞窟の地層を調べ直しました。以前は約9万5000〜1万2000年前の地層とされていましたが、調べ直すと、その年代は支持されませんでした。

わかっているブルムら・ファン・デン・ベルフら(2016年、Nature)[3][4]

島の中央のマタ・メンゲで、約70万年前の下あごの骨と歯6本が見つかりました。少なくとも3人分で、下あごと奥歯はリャン・ブアの骨よりもさらに小さいものでした。

どうやって: 化石をはさむ火山灰の層などの年代を、いくつかの方法で測りました。歯と下あごの形はリャン・ブアの骨に似ていて、ジャワ原人の仲間から小さくなった説を支えるとしました。

有力な仮説海部ら(2024年、Nature Communications)[6]

マタ・メンゲの約70万年前の大人の腕の骨は、約6万年前の骨より9〜16%短く細いものでした。これまで報告された化石人類の大人の腕の骨の中で、もっとも小さいものです。

どうやって: 同じ地層から新しく見つかった腕の骨と歯を比べました。歯の1本は初期のジャワ原人に近い形で、少なくとも70万年前から小さな体の系統が島で続いていたと結論しています。

有力な仮説アーグら(2017年、Journal of Human Evolution)[5]

頭・あご・歯・体の骨の特徴で家系図を作ると、ジャワ原人の仲間ではなく、ホモ・ハビリスに近い、175万年前より古い系統から来たという結果になりました。

どうやって: 多くの特徴をコンピューターで比べて家系図を作りました。ホモ・サピエンスの病気で小さくなったという説は、特徴が合わないとして否定しています。

03 数字と例えでいうとどれくらい小さく、いつまでいたの?

身長は約1メートル、脳は約380ccです。小さな体の祖先は約70万年前から島におり、骨は約6万年前のものまで見つかっています。

項目値身近な例えでいうと
身長約1メートル [1]1メートルのものさしと同じくらい
脳の大きさ約380cc [1]500ミリリットルのペットボトルの4分の3ほど
骨の年代約10万〜6万年前 [2]1年を1ミリにすると60〜100メートル
小さな祖先がいた時期約70万年前 [3]1年を1ミリにすると700メートル
70万年前の腕の骨6万年前の骨より9〜16%小さい [6]時代が古いほうが、さらに小さかった

04 まだわかっていないことホモ・フローレシエンシスで、まだ謎なのは?

どの祖先から来たのか、なぜここまで小さくなったのか、私たちの祖先と出会ったのかは、まだわかっていません。

05関連する記事

06よくある質問

ホモ・フローレシエンシスは病気の人の骨ではないの?

発見のあと、ホモ・サピエンスが病気で小さくなったという説も出ました。2017年の研究は骨の多くの特徴を比べ、病気では説明しにくいとしています。約70万年前の小さな祖先の化石も見つかっています。

ホモ・フローレシエンシスは私たちの祖先なの?

いいえ。2017年の研究では、ホモ・サピエンスと近い親戚という関係は否定されました。私たちとは別の枝の人類と考えられています。

ホモ・フローレシエンシスはいつ絶滅したの?

骨は約6万年前のものまで、石器は約5万年前のものまで見つかっています。それより後も生きていたかは、まだわかっていません。

出典

  1. Brown P, Sutikna T, Morwood MJ, et al. (2004). A new small-bodied hominin from the Late Pleistocene of Flores, Indonesia. Nature 431, 1055-1061. https://doi.org/10.1038/nature02999
  2. Sutikna T, Tocheri MW, Morwood MJ, et al. (2016). Revised stratigraphy and chronology for Homo floresiensis at Liang Bua in Indonesia. Nature 532, 366-369. https://doi.org/10.1038/nature17179
  3. Brumm A, van den Bergh GD, Storey M, et al. (2016). Age and context of the oldest known hominin fossils from Flores. Nature 534, 249-253. https://doi.org/10.1038/nature17663
  4. van den Bergh GD, Kaifu Y, Kurniawan I, et al. (2016). Homo floresiensis-like fossils from the early Middle Pleistocene of Flores. Nature 534, 245-248. https://doi.org/10.1038/nature17999
  5. Argue D, Groves CP, Lee MSY, Jungers WL (2017). The affinities of Homo floresiensis based on phylogenetic analyses of cranial, dental, and postcranial characters. Journal of Human Evolution 107, 107-133. https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2017.02.006
  6. Kaifu Y, Kurniawan I, Mizushima S, et al. (2024). Early evolution of small body size in Homo floresiensis. Nature Communications 15, 6381. https://doi.org/10.1038/s41467-024-50649-7