私たちのDNAにネアンデルタール人は何%入っている?

日本人を含め、アフリカの外にルーツを持つ人のDNAには、すでにいなくなった人類のかけらが混ざっています。その割合は約2%。100ページの本なら2ページ分です。数字の出し方と、交わった時期を順に見ていきます。
3行でわかる
- アフリカの外にルーツを持つ人のDNAの約1.8〜2.6%は、ネアンデルタール人から受け継いだもの(2017年の推定)。
- 交わった時期は、おもに約5万〜4万5000年前の一続きの期間と推定されている。
- 別の人類デニソワ人のDNAも、メラネシアの人々などに受け継がれている。
01 わかっていること私たちのDNAのうちネアンデルタール人の分は何%?
アフリカの外にルーツを持つ人では、全体の約1.8〜2.6%です。2010年の最初の推定は1〜4%で、その後、質のよいゲノムが読まれて幅が狭まりました。
ネアンデルタール人は、ヨーロッパから西アジアにかけて暮らしていた人類です。私たちホモ・サピエンスとは別のなかまですが、出会ったときに子どもを残していました。
サハラ砂漠より南のアフリカの人は、アフリカの外の人ほどネアンデルタール人と共通する部分を持っていません。出会いが主にアフリカの外で起きたためと考えられています。
この割合は、どの集団が優れているかとは関係ありません。祖先がたどった道のりの違いが、DNAに記録として残っているだけです。
02 どうやってわかったのかどうやって何%とわかったの?
数万年前の骨から取り出したDNAを読み、今の人のDNAと比べました。読める骨が増えるたびに、割合と交わった時期の推定が細かくなっています。
わかっているGreen ら(2010年、Science)[1]
ネアンデルタール人のゲノム(全遺伝情報)の下書きを初めて読み、アフリカの外の人のゲノムの1〜4%がネアンデルタール人由来と推定した。
どうやって: 3人分の骨から40億文字以上のDNAを読み、世界の各地の現代人5人と比べた。アフリカの外の人とだけ共通する部分が多かった。
わかっているPrüfer ら(2017年、Science)/マックス・プランク研究所の発表[3,7]
クロアチアのヴィンディヤ洞窟の女性(約5万年前)のゲノムを高い精度で読み、アフリカの外の人の1.8〜2.6%がネアンデルタール人由来と推定した。
どうやって: この女性は、私たちの祖先と交わった集団に近かった。そのため、今の人のDNAの中からネアンデルタール人由来の部分を10〜20%多く見つけられるようになった。
わかっているReich ら(2010年、Nature)[4]
シベリアのデニソワ洞窟の指の骨から、ネアンデルタール人に近い別の人類「デニソワ人」を見つけた。今のメラネシアの人のゲノムの4〜6%がデニソワ人由来と推定した。
どうやって: 骨の形ではなく、小さな指の骨のDNAだけで新しい人類のなかまを見分けた。
わかっているIasi ら(2024年、Science)/Sümer ら(2025年、Nature)[5,6]
交わった時期は、約5万500〜4万3500年前の一続きの期間に集中していた(Iasiら)。ドイツの約4万5000年前の人骨からは、約4万9000〜4万5000年前という推定も出た(Sümerら)。
どうやって: ネアンデルタール人由来のDNAのかけらは、世代を重ねるほど短く切れていく。その長さを、過去5万年の300人以上のゲノムで測って時期を逆算した。
2012年のSankararamanらの研究は、交わった時期を3万7000〜8万6000年前と広く見積もっていました(もっともありそうなのは4万7000〜6万5000年前)[2]。古い人骨のDNAが増えて、幅がぐっと狭まったことになります。
03 数字と例えでいうと約2%ってどれくらい?
100ページの本なら約2ページ分です。少なく見えますが、ネアンデルタール人がいなくなった今も、その一部が多くの人の体の中に残っているということです。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| アフリカの外の人のネアンデルタール人由来 | 1.8〜2.6% [7] | 100ページの本で約2〜2.6ページ |
| 最初の推定(2010年) | 1〜4% [1] | 同じ本で1〜4ページ。幅が広かった |
| メラネシアの人のデニソワ人由来 | 4〜6%(2010年の推定)[4] | 100ページの本で4〜6ページ |
| 交わった時期 | 約5万500〜4万3500年前 [5] | 地球の歴史を1年にすると大みそかの23時54分ごろ |
時刻の例えは、5万÷46億×1年(52万5600分)=約5.7分で計算しました。大みそかの真夜中の約6分前です。
04 まだわかっていないことまだ謎なのは何?
交わった場所がどこだったか、ネアンデルタール人がなぜ姿を消したのか、デニソワ人がどんな姿だったかは、まだよくわかっていません。
- 交わった場所はどこか時期はかなり絞り込まれましたが、どこで出会ったのかは、その時代の人骨のDNAが少なく決まっていません。
- 受け継いだDNAは体にどう働いているかPrüferらは、コレステロールの値や一部の病気に関わる部分もあると報告しています。ただ、多くの部分の働きはまだわかっていません。
- デニソワ人はどんな姿だったかデニソワ人は骨のかけらと歯が中心で、全身の姿はわかっていません。どこまで広く暮らしていたかも研究が続いています。
05関連する記事
06よくある質問
日本人もネアンデルタール人のDNAを持っていますか?
はい。アフリカの外にルーツを持つ人は、地域を問わずネアンデルタール人由来のDNAを持つと推定されています。2017年の推定では全体の約1.8〜2.6%です。
ネアンデルタール人のDNAが多いと何か違いがありますか?
割合は人の価値や能力の優劣を示すものではありません。一部の部分がコレステロールの値や病気のなりやすさに関わるという報告はありますが、多くの部分の働きはまだわかっていません。
ネアンデルタール人と交わったのはいつですか?
約5万500〜4万3500年前の一続きの期間に集中していたと推定されています(Iasiら、2024年)。別の研究では約4万9000〜4万5000年前とされています。
出典
- Green RE, et al. (2010). A Draft Sequence of the Neandertal Genome. Science 328, 710-722. https://doi.org/10.1126/science.1188021
- Sankararaman S, Patterson N, Li H, Pääbo S, Reich D (2012). The Date of Interbreeding between Neandertals and Modern Humans. PLoS Genetics 8, e1002947. https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1002947
- Prüfer K, et al. (2017). A high-coverage Neandertal genome from Vindija Cave in Croatia. Science 358, 655-658. https://doi.org/10.1126/science.aao1887
- Reich D, et al. (2010). Genetic history of an archaic hominin group from Denisova Cave in Siberia. Nature 468, 1053-1060. https://doi.org/10.1038/nature09710
- Iasi LNM, et al. (2024). Neanderthal ancestry through time: Insights from genomes of ancient and present-day humans. Science 386, eadq3010. https://doi.org/10.1126/science.adq3010
- Sümer AP, et al. (2025). Earliest modern human genomes constrain timing of Neanderthal admixture. Nature 638, 711-717. https://doi.org/10.1038/s41586-024-08420-x
- Max Planck Society (2017). Researchers sequence a new Neandertal genome. https://www.mpg.de/11515535/neandertaler-genome-croatia


