マンモスはいつ絶滅した? 最後の群れは約4000年前まで島で生きていた

マンモスは氷河時代の終わり、1万年ほど前に消えた。長いあいだ、研究者もそう考えていました。ところが北極海の島で、それよりずっと新しいマンモスの歯が見つかります。最後のマンモスは、およそ4000年前まで生きていたのです。
3行でわかる
- ケナガマンモスの最後の群れは、シベリアの北のウランゲル島で、約4000年前まで生きていました。
- 島の群れは10頭に満たない祖先から始まり、約300頭で6000年ほど安定して続きました。
- 最後に急に消えた理由は、遺伝子を調べてもまだわかっていません。
01 わかっていること最後のマンモスは、いつまで生きていたの?
ウランゲル島のケナガマンモスは、約4000年前まで生きていました。本土では骨の化石から約1万年前に消えたとされてきましたが、島ではその後も6000年ほど続きました。
1993年まで、マンモスは約9500年前までにどこでも絶滅した、と考えられていました [1]。ウランゲル島から、7000〜4000年前の歯がたくさん見つかって、この考えは見直されました [1]。
ウランゲル島は、約1万2000年前までに本土から切り離されたと考えられています [1]。マンモスは、そのまま島に残りました。
02 どうやってわかったのかどうやって年代や群れの大きさがわかったの?
歯や骨の年代を測り、古いマンモスのゲノム(全遺伝情報)を読みました。最近は、土の中に残ったDNAからも、いつどこにいたかを調べています。
わかっているヴァルタニアンら(1993年、Nature)[1]
ウランゲル島で、7000〜4000年前のマンモスの歯がたくさん見つかりました。氷河時代の終わりのふつうの大きさの化石も一緒に出ています。
どうやって: 島で集めた歯と骨の年代を測りました。論文は、島で体が小さくなったと解釈し、草原の植物が島に残ったことが生き延びた理由と考えました。
わかっているデハスクら(2024年、Cell)[3]
島のマンモスは約1万年前に孤立し、200世代以上続いてから、約4000年前に絶滅しました。群れは始まりの数の少なさから早く立ち直り、その後の6000年は数が安定していました。
どうやって: シベリアのマンモス21頭のゲノムを読みました。少し害のある遺伝子の変化はたまり続け、強く害のある変化は減っていました。近い親戚どうしの子が多い影響(近親交配)が、何百世代も続いていたと考えられます。
わかっているロジャーズとスラトキン(2017年、PLOS Genetics)[4]
約4300年前の島のマンモスのゲノムには、4万5000年前の本土のマンモスより、こわれた遺伝子が多く見つかりました。においを感じる遺伝子が多くこわれ、毛並みが変わる遺伝子の変化も2つありました。
どうやって: 2頭のゲノムを比べました。島の群れの実質的な大きさ(子を残す数で見た群れの大きさ)は、それ以前の43分の1より小さいと推定されています。
有力な仮説ワンら(2021年、Nature)[2]
本土のシベリア北部のタイミル半島でも、約3900年前(前後200年)までマンモスがいた可能性が示されました。骨の化石から見た本土の最後は、ユーラシアで約1万700年前、アラスカで約1万3800年前です。
どうやって: 北極圏の永久凍土と湖の底の土535点から、動物や植物が残したDNAを読みました。DNAが別の層から流れ込んだ形跡はなかったと報告しています。ただし本土でその時代の骨はまだ見つかっていません。
03 数字と例えでいうと最後のマンモスの群れは、どれくらいの大きさ?
島の群れは10頭に満たない祖先から始まり、子を残すマンモスが約300頭の大きさで、6000年ほど続きました。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 最後のマンモスがいた時期 | 約4000年前 [1][3] | 1世代を25年とすると、ヒトで約160世代前 |
| 島の群れの始まり | 10頭に満たない [5] | 両手の指で数えられるほど |
| 子を残す個体の数 | 約300頭 [5] | 30人のクラスの10クラス分 |
| 島で続いた世代 | 200世代以上 [3] | 約6000年にわたって代替わり |
| 読まれたゲノム | 21頭分 [3] | 1頭ずつの全遺伝情報 |
04 まだわかっていないことマンモスが最後に消えた理由は?
まだわかっていません。群れの数は最後の数世代まで約300頭で安定していたので、遺伝子の問題でゆっくり消えたのではなく、何かが急に起きたと考えられています。
- 何が急な絶滅を起こしたのか研究者は「なぜ約4000年前に消えたのかは謎のまま」としています [5]。群れが急に減ったことはわかっても、その原因の決め手は見つかっていません。
- 遺伝子のこわれは、どれだけ効いたのか害のある変化はたまっていましたが [3][4]、それだけで絶滅したとは言えない、と研究者は述べています [5]。
- 本土にも最後まで残っていたのか土の中のDNAは約3900年前の本土の群れを示しますが [2]、その時代の骨はまだ見つかっていません。
05関連する記事
06よくある質問
マンモスはいつ絶滅したの?
本土では骨の化石から約1万年前に消えたとされています。最後の群れは北極海のウランゲル島で、約4000年前まで生きていました。
マンモスは人間の狩りで絶滅したの?
狩りは理由の1つとして議論されてきましたが、決着していません。北極圏の土のDNAを調べた2021年の研究では、動物の分布に人間はあまり影響していなかったとしています。
ウランゲル島はどこにあるの?
ロシアのシベリアの北、北極海にある島です。約1万2000年前までに本土から切り離されたと考えられています。
出典
- Vartanyan SL, Garutt VE, Sher AV (1993). Holocene dwarf mammoths from Wrangel Island in the Siberian Arctic. Nature 362, 337-340. https://doi.org/10.1038/362337a0
- Wang Y, Pedersen MW, Alsos IG, et al. (2021). Late Quaternary dynamics of Arctic biota from ancient environmental genomics. Nature 600, 86-92. https://doi.org/10.1038/s41586-021-04016-x
- Dehasque M, Morales HE, Díez-del-Molino D, et al. (2024). Temporal dynamics of woolly mammoth genome erosion prior to extinction. Cell 187. https://doi.org/10.1016/j.cell.2024.05.033
- Rogers RL, Slatkin M (2017). Excess of genomic defects in a woolly mammoth on Wrangel island. PLOS Genetics 13, e1006601. https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1006601
- Stockholm University (2024). New genetic study reveals the woolly mammoths' journey towards extinction. https://su.se/english/news/new-genetic-study-reveals-the-woolly-mammoths-journey-towards-extinction-1.746552


