5回の大量絶滅とは? 生き物の何割が消えたのか、いまは6回目なのか

地球では、生き物の種の4分の3以上が短い間に消える「大量絶滅」が、過去5億年あまりで5回起きました。いちばん大きかった約2億5200万年前の絶滅では、海の生き物の8割以上が消えたと推定されています。そして今、6回目が始まっているのではないか、という議論があります。
3行でわかる
- 大量絶滅は、生き物の種のおよそ4分の3以上が、地質学的に短い期間で消える出来事です。過去約5億4000万年で5回起きました。
- 最大はペルム紀末(約2億5200万年前)で、海の種の約81%〜96%が消えたと推定されています。割合は研究によって違います。
- いまの絶滅の速さは、人がいなかった時代の最大100倍、あるいは100〜1000倍とする研究がある一方、6回目の大量絶滅と呼べるかには異論もあります。
01 わかっていること5回の大量絶滅って何?
古生代から中生代の終わりまでに起きた、5回の特に大きな絶滅です。オルドビス紀末、デボン紀後期、ペルム紀末、三畳紀末、白亜紀末で、どれも種の4分の3前後かそれ以上が消えたと推定されています。
生き物の種は、いつの時代も少しずつ絶滅しています。これを「背景絶滅」と呼びます。大量絶滅は、この普段の速さを大きく超えて、短い期間に一度に多くの種が消えた時期のことです。
「5回」という数え方は、1982年に海の生き物の化石を数え上げた研究から広まりました。ただし、どれだけ消えたかの割合は、数え方によって研究ごとに違います。
02 どうやってわかったのかどうやって数えたの?
世界中の地層から出る海の生き物の化石を、時代ごとに数えました。ある時代に化石が一斉に消えていれば、そこで多くの種が絶滅したとわかります。年代は、火山灰に含まれる鉱物で測ります。
わかっているラウプとセプコスキー(1982年、Science)[1]
海の生き物の「科」(いくつもの種をまとめたグループ)の化石を集計すると、オルドビス紀・ペルム紀・三畳紀・白亜紀の終わりの4回が、普段の絶滅と統計ではっきり区別できました。デボン紀の絶滅も目立っていましたが、このデータでは統計的に区別するには届きませんでした。
どうやって: 海の無脊椎動物と脊椎動物の化石の記録をまとめ、時代ごとに絶滅した科の割合を比べました。陸の生き物は化石が残りにくいため、海の記録が中心です。
わかっているバージェスら(2014年、PNAS)[2]
最大の絶滅であるペルム紀末の絶滅は、約2億5194万年前から約2億5188万年前の間、約6万年(誤差±4万8000年)で起きました。
どうやって: 中国の煤山(メイシャン)の地層にはさまる5枚の火山灰から鉱物(ジルコン)を取り出し、含まれるウランと鉛の割合から年代を測りました。
有力な仮説スタンレー(2016年、PNAS)[3]
ペルム紀末に消えた海の種は約81%と推定しました。よく言われる90〜96%は、中期ペルム紀の別の絶滅と合わせて計算した値だったとしています。約90の目と220以上の科の海の動物が生き残っていました。
どうやって: 大量絶滅の前から少しずつ起きていた普段の絶滅を切り分け、化石の記録の欠けを補正して計算し直しました。同じ化石でも、数え方で割合が変わる例です。
わかっているシュルテら(2010年、Science)[4]
白亜紀末の大量絶滅は、メキシコのチクシュルーブに小惑星がぶつかったことが引き金だと結論づけました。衝突で飛び散った物質の層が、世界中の同じ時代の地層に見つかっています。
どうやって: 世界各地の白亜紀と古第三紀の境の地層の記録をまとめ、衝突の層と絶滅の始まりの時期が一致することを確かめました。インドの大規模な火山活動とも時期が重なっています。
有力な仮説バーノスキーら(2011年、Nature)、セバージョスら(2015年、Science Advances)[5][6]
今の絶滅の速さは、化石からわかる普段の速さより高いことが確かめられました。2015年の研究は、控えめな前提で計算しても、過去100年の脊椎動物の絶滅の速さは普段の最大100倍だったとしています。
どうやって: 化石からわかる普段の絶滅の速さと、記録に残っている最近の絶滅の数を比べました。絶滅したと認められるには厳しい基準があるため、記録の数は少なめになります。
03 数字と例えでいうといつ、どれくらい消えたの?
5回のうち最も古いのは約4億4300万年前、最も新しいのは約6600万年前です。消えた種の割合は、約75%から95%以上と推定されています。地球の歴史46億年を1年にすると、5回とも11月の終わりから12月の終わりの間に入ります。
| 大量絶滅 | いつ・消えた種の割合 | 地球の歴史46億年を1年にすると |
|---|---|---|
| オルドビス紀末 | 約4億4300万年前・約85% [7] | 11月26日の夜 |
| デボン紀後期 | 約3億7400万年前・約4分の3 [7] | 12月2日の朝 |
| ペルム紀末(最大) | 約2億5200万年前 [2]・95%以上 [7](海の種で約81%という再計算もある [3]) | 12月12日になったばかりのころ |
| 三畳紀末 | 約2億年前・約80% [7] | 12月16日の未明 |
| 白亜紀末(恐竜の絶滅) | 約6600万年前・78% [7] | 12月26日の夕方 |
| いまの絶滅の速さ | 人がいなかった時代の最大100倍 [6]、100〜1000倍とする見方も [7] | 1日は約1260万年にあたる。人の歴史は大みそかの最後の数十分 |
割合の数字は研究によって違います。表の割合はロンドン自然史博物館の解説 [7] の値で、ペルム紀末のように再計算で大きく変わる例もあります [3]。
04 まだわかっていないこといまは6回目の大量絶滅なの?
決着していません。今の絶滅の速さが普段より速いことは多くの研究で一致しています。ただ、過去の5回のように種の4分の3以上が消える段階にあるのか、これから向かうのかについては、研究者の間で見方が分かれています。
- 本当に「6回目」と呼べるのかロンドン自然史博物館などは、6回目を経験している可能性が高いとしています [7]。一方、2025年の研究は過去500年の絶滅を調べ、絶滅の速さはここ100年ではおおむね下がっていたとし、過去の傾向をそのまま未来に当てはめることに注意を促しています [9]。
- 知られていない絶滅はどれくらいあるのか国際的な絶滅のリスト(レッドリスト)で調べられているのは、鳥や哺乳類が中心で、虫や貝はごく一部です。2022年の研究は、貝の仲間などから大胆に見積もると、1500年ごろから既知の種の7.5〜13%がすでに消えた可能性があるとしています [8]。
- 過去の大量絶滅の割合はどれくらい正確か化石は一部しか残らず、数え方で割合が変わります。ペルム紀末の割合が96%から81%に見直されたように、数字は今も更新されています [3]。
05関連する記事
06よくある質問
大量絶滅はこれまで何回あったの?
大きなものは5回とされています。オルドビス紀末、デボン紀後期、ペルム紀末、三畳紀末、白亜紀末です。この5回のほかにも、規模の小さい絶滅は何度も起きています。
いちばん大きかった大量絶滅は?
約2億5200万年前のペルム紀末の大量絶滅です。種の95%以上が消えたとよく言われますが、海の種で約81%とする再計算もあります。絶滅は約6万年の間に起きたと測られています。
恐竜が絶滅したのは何回目?
5回目、約6600万年前の白亜紀末の大量絶滅です。メキシコのチクシュルーブへの小惑星の衝突が引き金になったとする研究が有力です。
いまは6回目の大量絶滅なの?
決着していません。今の絶滅の速さが人のいない時代より速いことは多くの研究で一致しています。ただ、過去の5回のように種の4分の3以上が消える段階かどうかは、研究者の間で見方が分かれています。
出典
- Raup, D. M. & Sepkoski, J. J. Jr. (1982). Mass extinctions in the marine fossil record. Science 215, 1501-1503. https://doi.org/10.1126/science.215.4539.1501
- Burgess, S. D., Bowring, S. & Shen, S. (2014). High-precision timeline for Earth’s most severe extinction. PNAS 111, 3316-3321. https://doi.org/10.1073/pnas.1317692111
- Stanley, S. M. (2016). Estimates of the magnitudes of major marine mass extinctions in earth history. PNAS 113(42). https://doi.org/10.1073/pnas.1613094113
- Schulte, P. et al. (2010). The Chicxulub asteroid impact and mass extinction at the Cretaceous-Paleogene boundary. Science 327, 1214-1218. https://doi.org/10.1126/science.1177265
- Barnosky, A. D. et al. (2011). Has the Earth’s sixth mass extinction already arrived? Nature 471, 51-57. https://doi.org/10.1038/nature09678
- Ceballos, G. et al. (2015). Accelerated modern human-induced species losses: Entering the sixth mass extinction. Science Advances 1, e1400253. https://doi.org/10.1126/sciadv.1400253
- Natural History Museum (London). What is mass extinction and are we facing a sixth one? https://www.nhm.ac.uk/discover/what-is-mass-extinction-and-are-we-facing-a-sixth-one.html
- Cowie, R. H., Bouchet, P. & Fontaine, B. (2022). The Sixth Mass Extinction: fact, fiction or speculation? Biological Reviews 97, 640-663. https://doi.org/10.1111/brv.12816
- Saban, K. E. & Wiens, J. J. (2025). Unpacking the extinction crisis: rates, patterns and causes of recent extinctions in plants and animals. Proceedings of the Royal Society B 292, 20251717. https://doi.org/10.1098/rspb.2025.1717


