鳥は本当に恐竜の子孫? 羽毛恐竜と始祖鳥でわかったこと

スズメやハトは、恐竜の生き残りです。たとえ話ではなく、分類の上でそう言えます。羽毛を持つ恐竜の化石が次々に見つかり、鳥と恐竜の境目は、思っていたよりずっとあいまいだとわかってきました。
3行でわかる
- 鳥は、ティラノサウルスと同じ獣脚類(肉食恐竜のグループ)の、小型の恐竜から生まれました。
- 羽毛・空気を通す袋のある肺・体温を保つしくみなど、鳥らしい特徴の多くは、空を飛ぶ前の恐竜にすでにありました。
- 約6600万年前の大量絶滅で、恐竜のうち鳥の仲間だけが生き残りました。今いる鳥は少なくとも1万1000種です。
01 わかっていること鳥は本当に恐竜の子孫なの?
はい。鳥は獣脚類という肉食恐竜の小型の仲間から生まれたことが、化石でほぼ確かめられています。鳥は恐竜の子孫というより、今も生きている恐竜のグループそのものです。
ロンドン自然史博物館は、鳥はティラノサウルスと同じ獣脚類から生まれたが、もとになったのは小型の獣脚類だと説明しています [5]。最も古い鳥のような化石は1億5000万年以上前のものです。
初期の鳥は口に鋭い歯を持ち、小さな羽毛恐竜によく似ていました。歯は後の時代に失われ、くちばしになりました [5]。
「子孫」と言うと恐竜とは別の生き物に聞こえますが、分類の考え方では、ある祖先から生まれた子孫はすべて同じグループに入ります。そのため鳥は「恐竜の一つのグループ」と言えます。
02 どうやってわかったのか羽毛恐竜と始祖鳥で、何がわかったの?
中国などで羽毛の跡が残った恐竜の化石が多数見つかり、羽毛は鳥が生まれる前からあったとわかりました。体のつくりを並べると、恐竜から鳥へは大きな飛躍なく、少しずつ移り変わっていました。
わかっているシュウら(2014年、Science)[1]
近年の化石は、鳥がマニラプトル類という獣脚類の一群から生まれたことを強く支えています。羽毛、飛ぶ力、体温を保つしくみ、肺のしくみの多くは、地上で暮らす恐竜の時代に始まっていました。
どうやって: これまでに見つかった化石と、発生や体のしくみの研究をまとめた総説です。鳥と恐竜の移り変わりは、生き物の歴史の大きな変化の中でも、最もよく記録された例の一つとしています。
わかっているブルサッテら(2014年、Current Biology)[2]
恐竜から鳥への移り変わりに、大きな飛躍はありませんでした。鳥の体のつくりは何百万年もかけて少しずつそろい、そろった後に変化が速まりました。
どうやって: 獣脚類と初期の鳥の骨の特徴を数多く比べて家系図を作り、体の形がどれくらいの速さで変わったかを計算しました。
有力な仮説シュウら(2003年、Nature)[3]
中国で、前脚と後ろ脚の両方に長い羽毛を持つ「4枚の翼」の恐竜ミクロラプトルが見つかりました。羽ばたいて飛ぶ前の段階として、滑空できた可能性があります。
どうやって: 羽毛の跡が残った化石を調べました。鳥の祖先がどうやって飛び始めたのかには、まだ議論があるとしています。
わかっているラウフートら(2018年、PeerJ)[4]
ドイツ・バイエルンで見つかった12体目の始祖鳥の骨格は、これまでで最も古い始祖鳥でした。歯の数や形には標本ごとに大きな違いがありました。
どうやって: 新しい標本の骨を細かく調べ、ほかの標本と比べました。違いが同じ種の個体差なのか、近い種がいくつもいたのかは、はっきりしないとしています。
03 数字と例えでいうと鳥と恐竜の歴史を数字でいうと?
最も古い鳥のような化石は1億5000万年以上前、恐竜の時代は1億4000万年以上続き、約6600万年前に終わりました。今いる鳥は少なくとも1万1000種です。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 最も古い鳥のような化石 | 1億5000万年以上前 [5] | 1年を1ミリにすると150キロ以上 |
| 恐竜が栄えた期間 | 1億4000万年以上 [5] | ヒトとチンパンジーが分かれてからの約20倍(約645万年 [6] で計算) |
| 鳥の仲間以外の恐竜が消えた時期 | 約6600万年前 [5] | 1年を1ミリにすると66キロ |
| 今いる鳥の種の数 | 少なくとも1万1000種 [5] | 生き残った恐竜の子孫の多さ |
| ニワトリとアメリカアリゲーター(ワニ)が分かれた時期 | 約2億4300万年前 [6] | ニワトリとヒト(約3億1900万年前 [6])より近い親戚 |
04 まだわかっていないこと鳥の起源で、まだわかっていないことは?
鳥の祖先がどうやって飛び始めたのか、始祖鳥が今の鳥の直接の祖先なのかは、まだわかっていません。
- どうやって飛び始めたのか木から滑空するところから始まったのか、地上を走りながら羽ばたくところから始まったのかは、議論が続いています [3]。
- 始祖鳥は今の鳥の直接の祖先か始祖鳥は鳥と恐竜の特徴をあわせ持ちますが、今の鳥へ直接つながる祖先か、近い親戚の枝かは決まっていません。標本どうしの違いの意味もはっきりしていません [4]。
- なぜ鳥の仲間だけが生き残ったのか体が小さい、いろいろな物を食べられる、飛べる、などの組み合わせが有力とされますが [5]、どれが決め手だったかはわかっていません。
05関連する記事
06よくある質問
ニワトリは恐竜なの?
はい。分類の上では、ニワトリを含むすべての鳥は獣脚類という恐竜のグループに入ります。ティラノサウルスと同じグループの、小型の恐竜から生まれた子孫です。
すべての恐竜に羽毛があったの?
そうとは言えません。羽毛の跡が残った化石は、鳥に近い獣脚類を中心に多く見つかっていますが、恐竜全体のどこまでに羽毛があったかは、研究が続いています。
始祖鳥は鳥の最初の祖先?
始祖鳥は、鳥と恐竜の特徴をあわせ持つ古い鳥の仲間です。ただ、今の鳥へ直接つながる祖先かどうかはわかっていません。
出典
- Xu X, Zhou Z, Dudley R, et al. (2014). An integrative approach to understanding bird origins. Science 346, 1253293. https://doi.org/10.1126/science.1253293
- Brusatte SL, Lloyd GT, Wang SC, Norell MA (2014). Gradual Assembly of Avian Body Plan Culminated in Rapid Rates of Evolution across the Dinosaur-Bird Transition. Current Biology 24, 2386-2392. https://doi.org/10.1016/j.cub.2014.08.034
- Xu X, Zhou Z, Wang X, et al. (2003). Four-winged dinosaurs from China. Nature 421, 335-340. https://doi.org/10.1038/nature01342
- Rauhut OWM, Foth C, Tischlinger H (2018). The oldest Archaeopteryx (Theropoda: Avialiae): a new specimen from the Kimmeridgian/Tithonian boundary of Schamhaupten, Bavaria. PeerJ 6, e4191. https://doi.org/10.7717/peerj.4191
- Natural History Museum, London. Why are birds the only surviving dinosaurs? https://www.nhm.ac.uk/discover/why-are-birds-the-only-surviving-dinosaurs.html
- Kumar S, Suleski M, Craig JM, et al. (2022). TimeTree 5: An Expanded Resource for Species Divergence Times. Molecular Biology and Evolution 39(8), msac174. https://doi.org/10.1093/molbev/msac174


