生命の始まり

すべての生き物の共通祖先LUCAとは? いつ・どんな生き物だったのか

2026年10月28日更新・約5分で読めます

深海の熱水が出る場所に広がる微生物のマット
Photo: Image courtesy of Submarine Ring of Fire 2004 Exploration, NOAA Vents Program. / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と博物館・研究機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

ヒトも、庭の草も、おなかの中の細菌も、家系図をさかのぼると同じご先祖に行き着きます。この「すべての生き物の共通祖先」を、研究者はLUCA(ルカ)と呼びます。化石は見つかっていないのに、いつ・どんな姿だったのかが少しずつわかってきました。

3行でわかる

  1. LUCAは、今いるすべての生き物の最後の共通祖先です。最初の生命そのものではなく、その子孫の1つです。
  2. 2024年の研究では、LUCAは約42億年前(42億〜43億年前)に生きていたと推定されました。
  3. 酸素を使わずに暮らす単細胞で、遺伝子は約2600個と、今の細菌に近い姿だったと考えられています。

01 わかっていることLUCAってどんな生き物?

LUCAは、今生きているすべての生き物が共通して受け継いだ、いちばん新しいご先祖です。今の細菌に近い、小さな単細胞の生き物だったと推定されています。

LUCAは英語の「Last Universal Common Ancestor(最後の普遍的な共通祖先)」の頭文字です。共通祖先とは、どちらの生き物にとってもご先祖にあたる生き物のことです。

大事なのは、LUCAは最初の生命ではないという点です。LUCAの前にも生き物はいたと考えられていますが、その子孫は今まで残りませんでした。今の生き物はすべて、LUCAの子孫です。

LUCAから、細菌の仲間と古細菌(アーキア。細菌に似ているが別の系統の微生物)の仲間に分かれました。私たちヒトをふくむ動物や植物は、のちにこの2つが関わって生まれた系統です。

02 どうやってわかったのか化石がないのに、どうやって調べたの?

今の生き物の遺伝子を比べ、全員が共通して持つ遺伝子からさかのぼりました。年代は、遺伝子の変化の速さを化石の年代で合わせて求めています。

わかっているセオバルド(2010年、Nature)[1]

すべての生き物が1つの祖先から分かれたのか、別々の祖先から生まれたのかを統計で比べました。結果は、1つの共通祖先を持つという考えが圧倒的に支持されました。

どうやって: すべての生き物が共通して持つたんぱく質の配列を使い、いくつもの「別々の祖先」のモデルと比べました。遺伝子が種をこえて受け渡される現象を考えに入れても、結論は変わりませんでした。

有力な仮説ワイスら(2016年、Nature Microbiology)[2]

細菌と古細菌の610万個の遺伝子を調べ、LUCAまでさかのぼれる355のたんぱく質の家族を見つけました。そこから、LUCAは酸素を使わず、水素と二酸化炭素を使い、熱い場所に住んでいたと推定しました。

どうやって: 遺伝子を約28万6000のグループに分け、その系統樹(家系図)が細菌と古細菌の両方にまたがるものだけを選びました。住んでいた場所は、海底の熱水が出る場所のような環境が候補とされています。

有力な仮説ムーディら(2024年、Nature Ecology & Evolution)[3]

LUCAは約42億年前(42億〜43億年前)に生きていたと推定されました。遺伝子は約2600個、ゲノム(遺伝情報の全体)は少なくとも250万文字分で、今の細菌に近い大きさです。ウイルスから身を守るしくみの原型も持っていたとされます。

どうやって: LUCAより前に起きた遺伝子の重複を手がかりに、変化の速さを微生物の化石や岩石の記録で合わせて年代を計算しました。研究チームは、LUCAは1匹だけで暮らしていたのではなく、ほかの微生物と生態系をつくっていたとも推定しています。

なお、ワイスら(2016年)とムーディら(2024年)では、LUCAの暮らし方の細部の推定が少し違います。どちらも遺伝子からの推定なので、ラベルは「有力な仮説」にしています。

03 数字と例えでいうと42億年前ってどれくらい昔?

地球が生まれて約4億年後です。地球の歴史46億年を1年に縮めると、LUCAがいたのは2月1日ごろ。ヒトが現れたのは大みそかの夜なので、LUCAは「1年の始まり近く」にいました。

項目値身近な例えでいうと
LUCAが生きていた年代約42億年前(42億〜43億年前)[3]地球の46億年を1年にすると、1月下旬〜2月上旬ごろ
LUCAの遺伝子の数約2600個 [3]今の細菌と同じくらい。「原始的でとても単純」ではなかった
ゲノムの大きさ少なくとも250万文字分(2.5メガ塩基)[3]1ページ1000文字の本にすると約2500ページ分
LUCAまでさかのぼれる遺伝子の家族355(610万個の遺伝子を調べて)[2]約28万6000グループのうち、約0.1%だけ

04 まだわかっていないことまだ謎なのは何?

LUCAの年代や暮らし方は、遺伝子からの推定で、研究によって幅があります。LUCAの前にどんな生き物がいたのか、どこで生きていたのかも決着していません。

05関連する記事

06よくある質問

LUCAは最初の生命のこと?

ちがいます。LUCAは、今生きているすべての生き物の最後の共通祖先です。LUCAより前にも生き物はいたと考えられていますが、その子孫は今は残っていません。

LUCAの化石はあるの?

ありません。LUCAの姿や年代は、今の生き物の遺伝子を比べてさかのぼる方法で推定されています。2024年の研究では約42億年前と推定されました。

ヒトと細菌は本当に同じ祖先から来たの?

はい。すべての生き物に共通するたんぱく質を統計で調べた研究で、1つの共通祖先を持つという考えが強く支持されています。ヒトも細菌も、たどるとLUCAに行き着きます。

LUCAは1匹だったの?

「LUCA」は1匹の個体ではなく、ある時代の1つの種(集団)を指します。2024年の研究では、LUCAはほかの微生物とともに生態系をつくって暮らしていたと推定されています。

出典

  1. Theobald, D. L. (2010). A formal test of the theory of universal common ancestry. Nature 465, 219-222. https://doi.org/10.1038/nature09014
  2. Weiss, M. C. et al. (2016). The physiology and habitat of the last universal common ancestor. Nature Microbiology 1, 16116. https://doi.org/10.1038/nmicrobiol.2016.116
  3. Moody, E. R. R. et al. (2024). The nature of the last universal common ancestor and its impact on the early Earth system. Nature Ecology & Evolution 8, 1654-1666. https://doi.org/10.1038/s41559-024-02461-1
  4. University of Bristol (2024). Insight into one of life’s earliest ancestors revealed in new study. https://bristol.ac.uk/news/2024/july/luca.html